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喉頭がんの祖母の思い出

私が小学校に上がる前、母方の祖父の見舞いにいきました。祖父は九州に住んでいたので、家族全員で東京から寝台車で向かいました。まだ幼かった私は、普通の旅行だと思い込んで寝台車の中ではしゃいでいました。

 

病院に着くと独特の匂いがし、父に手を引かれるまま病室を訪れました。元気だった祖父はやせ細りって顔色が悪かったですが、私を見ると微笑んで手招きしました。咽頭がんで放射線治療中だと後で聞いたので、この時はどこが悪くて入院しているのか知りませんでした。ただ、なんとなくもう気軽には会えないのだと子供ながらに感じました。

 

一通り話をした後に祖父はお小遣いをくれました。それが祖父と話した最後でした。病室を出る時は、まさかこのまま別れるなんて、思いもよりませんでした。だから貰ったお小遣いは、すぐに近くのおもちゃ屋で使ってしまいました。

 

それから少し後、祖父の葬式がありました。まだ幼くて死というものが理解できず、父に抱かれて祖父の骨を長い箸で拾いました。目の前の白い骨が祖父だとは、説明されても理解できませんでした。ただ祖父とはもう会えないのだということはわかりました。